家づくり・人間ジャーナル著者のブログ
縦長配置にこだわらない
- 2009-09-26 (土)
- 音環境
部屋の配置と空間印象
部屋の形や大きさが変われば、音の印象も変わる。これは多くの人が直感的に理解できることだと思います。しかし、同じ部屋を縦長に使うか、横長に使うかによっても、音の空間印象に大きな差異が生じます。
一般的には、横長配置(図1b)で音を聴く方が、音の拡がり感、音に包まれた印象が得やすく、縦長配置(図1a)よりも、はっきりとした音像(sound image)が得やすくなると考えられます。
図1. 部屋の配置方法
部屋の配置と伝送特性
また、石井伸一郎氏1)によると、横長配置には、天井が低い部屋における伝送特性が改善されるというメリットもあるそうです。
天井が低い部屋を「縦長配置」で使用すると、特定の周波数(低音域)で音の強さが弱くなってしまいます(図2a)。これを改善するには、本来は天井を高く造り直さないといけないのです。しかし、同じ部屋を横長配置にするだけで、こうした低音域における伝送特性の落ち込みが解消できるというのです(図2b)。

図2(a)縦長配置の伝送特性
*図は文献1より引用

図2(b)横長配置の伝送特性
最新の音響理論で
こうしたメリットがあるにもかかわらず、旧来の設計理論では、ずっと縦長配置が推奨されてきたのです。しかし、このように改めて見直してみると、旧来の設計理論にはいくつか改善すべき点があることに気付くのです。ですから本来は、旧来の設計理論を過信せず、一軒一軒、「最新の音響理論」で住まいの音環境をデザインしていくことが重要になるのです。
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そのためには、やはり住宅レベルの小空間でも、音響コンサルタントなどの専門家に積極的に相談すべきだといえるのです。予算の都合でなかなか難しいことだと思いますが、そうでもしないと「住まいの室内音響技術」は、今後も刷新されないままの「泥沼状態」から抜け出せなくなるのです。
参考文献
(1)石井伸一郎 リスニングルームの音響学―シミュレーションと測定で徹底解析!. 誠文堂新光社, 2009.
特集5. 部屋の形状と良い音場の条件
図表などを使った詳細なコラムは、上記リンクからご覧いただけます。もちろん無料です。
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四角い部屋でも問題ない
- 2009-09-08 (火)
- 音環境
固定観念
「反射性の平行面の間では、フラッターエコーが発生する」。こうした通説の影響のためか、今まで単純な四角形の部屋は、音を楽しむ空間としては、不適切だと判断されがちでした。
四角い部屋でも大丈夫
しかし、平行面からなる四角形の部屋であれば、必ずフラッタエコーが生じるという訳ではありません。たとえば、次のようなケースでは、理論上フラッターエコーが起こりにくくなると考えられるのです。
反射音の時間遅れ
もし縦横高さのひとつだけが長ければ、最も距離の長い面からの反射音は、常に遅れてリスナーに届くことになります。しかし、縦横高さの三辺の寸法差が小さい空間では、こうした特異な時間遅れをもつ反射成分は生じにくくなります。
均一な吸音率
当然、特異な時間遅れをもつ反射音が到来するまでに、他経路からの反射音は、より多く壁や天井との衝突、反射を繰り返します。音は反射のたびに壁などに吸音され、その勢力を失います。したがって、こうした空間では、常に遅れて、相対的に勢力の強い(反射回数の少ない)反射音が到来するようになるのです。
しかし、各面の吸音率が均一で縦横高さの寸法差が小さい空間では、全ての反射音が、同じような時間遅れ、同じようなエネルギー減衰(反射回数)でリスナーに到達します。だからこそ、フラッターエコーにつながるような特異な反射波が生じにくくなるのです。
瀬川冬樹邸で立証済
フラッターエコーや残響過多を恐れるあまり、今までは大方の人が、ライブ(反射性)な部屋の採用には慎重になっていました。しかし、このことを応用すると、少なくとも、瀬川冬樹氏のリスニングルームのように、各面の反射率が均一であれば、ライブな四角形の部屋でもフラッターエコーは生じにくくなると考えられるのです。
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最新のリスニングルーム
この瀬川冬樹氏の理論も素晴らしいのですが、石井伸一郎氏の理論も洗練されたものであるといえます。石井式リスニングルームも、四角形の部屋なのですが、この部屋には次のような特徴があります。
(2) 縦横高さの寸法差が小さく、各面の吸音率はほぼ一様
(1)の工夫により、その部屋の定在波の分布は一様になると考えられます。そのため、伝送特性が良好になるだけでなく、特定の音だけが強調される現象(ブーミング)も起こりにくくなると考えられます。また、(2)の特徴はフラッターエコーの低減にも役立つと考えられるのです。こうした事例からも分かるように、単純な四角形の部屋では良い音を楽しめないとするのは、単なる固定観念としか言いようがないのです。
参考文献
石井伸一郎 リスニングルームの音響学―シミュレーションと測定で徹底解析!. 誠文堂新光社, 2009.
特集4. 部屋の形状と音響障害
(2) ブーミングと部屋の寸法 / (PDF:189KB) / 3ページ
(3) フラッターエコーと部屋の形 / (PDF:184KB) / 5ページ
図表などを使った詳細なコラムは、上記リンクからご覧いただけます。もちろん無料です。
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持ち家にこだわらない
当ブログでは家づくりについて取り上げていますが、実は個人的には、住宅購入へのこだわり過ぎも、良くないと思っています。
なぜなら、現状、日本の住宅・金融制度では住宅購入に際して、比較的大きなリスクが伴うからです。
- 日本の住宅には、交換価値が無いに等しい
- 日本の住宅ローンはリコースローン(遡及型融資)
交換価値の無い住宅
日本では住宅を建てた、あるいは購入した時点から、その価値は下がっていきます。木造戸建であれば、15~20年程度で評価額はほぼゼロとなります。したがって、「持ち家は資産になる」という考えは必ずしも正しくないのです。
ローン破綻のリスク
日本で主流のリコースローンは、かなり簡単に言えば「人」に対する融資です。ですから、返済困難になって家を売却しても、完済ができなければ、依然として債務は借主、連帯保証人に残ってしまうのです。
先ほど述べたように、日本の住宅は年々価値が急激に下がります。ですから、家を売却しても債務が残ることが多いのです。
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この事はもっと詳しく書きたいのですが、長くなるので、別の機会にしたいと思います。今回は、おすすめの本を紹介します。

著:エイブル
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2005/11/18
価格:¥1,470
ユーズド価格:¥258より
単行本
発送可能時期:通常2~5週間以内に発送。(2009/07/29現在)
この本の著者は、賃貸会社大手のエイブルのため多少内容の偏りはありますが、いわゆる宣伝本ではないと思います。何より、難しい言葉を使用しないで、持ち家のリスクを直感的に説明できているのが良いと思いました。住宅購入を検討される方は、読んでおいても損は無いと思います。
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